Healing Spaces: War, Trauma, and Recovery in The Fifth Book of Peace
WANG Lingling
"Water," the third chapter of Maxine Hong Kingston's The Fifth Book of Peace, rewrites the burned The Fourth Book of Peace and continues the narrative of her earlier work, Tripmaster Monkey. The protagonist, Chinese-American artist Ah Sing, embarks on a journey to Hawaii with his family to escape military service and discover peace. In the book, Spaces like Kahalu'u and Wittman's theater function as heterotopias that offer healing in contrast to the trauma of war. This presentation analyzes how these spaces serve as sites of recovery, challenging the violence and trauma imposed by war.
ボトム、ポワントを履く
杉木良明
シェイクスピアを元にしたバレエの内、今回は、アシュトン版の『夏の夜の夢』を取り上げる。森の中でロバになったボトムがポワントを履いて踊る。男性ダンサーがポワントを履くことはまずない。女性でもマイム役は履かず、キャラクター・ダンスでも履かない場合が少なくない。では、ボトムのポワントは何を意味するのか。異界(森)で起こる出来事の非現実性を象徴しているのではないか。ポワントの歴史を紐解きつつ探ってみたい。
音楽、舞踊、文学 — モダニズムの文化的諸相
深谷公宣、丸山修、相原直美、日臺晴子(東京海洋大学)
文学の重要なジャンルを形成している神話、詩、演劇、民謡は、音楽、舞踊の要素を多分に含んでいる。モダニズム期の文学においても、そうした要素を含む表現が採用された。しかしながら、それらは作品のモチーフとして認識されることが多く、音楽、舞踊と文学との関わりが大局的な視点ではほとんど検証されていないようにみえる。本シンポジウムでは、モダニズム期に隆盛した文学の諸ジャンルやモチーフ等から音楽、舞踊の要素を抽出し、それぞれ独自の文化的特質を持った三者の関係性について考えたい。
1. 音楽への憧れの行方 ― マラルメ、エリオット、ストラヴィンスキー、オーデン
丸山修
T・S・エリオットがフランス象徴派に刺激を受けていることはよく知られており、特に音楽の性質に対する考え方におけるマラルメとの類似性も指摘されているが、相違点もまた重要である。20世紀西洋音楽においてモダンな作曲家を代表する一人のストラヴィンスキーは、エリオットとの共通点があるとも論じられるが、音楽の捉え方はおそらく本質的に異なっている。ストラヴィンスキーとの共作によりオペラの台本を書いたW・H・オーデンは、音楽の特質について独自の考えを随所で著している。彼らの詩(言語芸術)と音楽の関係を巡る議論を追って、音楽の可能性が果たす役割について比較検討してみたい。
2. 詩から音響へ ― ウィリアムズの戯曲における音楽の変遷
相原直美
テネシー・ウィリアムズはモダンとポストモダンのあいだの、所謂モダニズムの「黄昏」時に豊饒な作品を生み出した劇作家である。もともと詩人を目指していたウィリアムズは、T・S・エリオットをはじめとするモダニスト詩人たちが戦中戦後に書いた一連の戯曲を「素晴らしい図書館用詩劇」と評しており、その言葉には詩と演劇の近さを認めつつも、"the visual and plastic elements of the theater"の欠如に対する批判も込められている。本発表では、ウィリアムズの提唱したplastic theaterという概念の一部を成す「音楽」という要素に着目し、彼の演劇に於ける音楽のもつ意味を、特に彼の劇に多くの楽曲を提供したポール・ボウルズの存在を視野に入れつつ、探ってみたい。
3. ヴァーノン・リーのThe Ballet of the Nationsとバレエの関係を考える
日臺晴子
ヴァーノン・リーは第一次世界大戦の勃発に衝撃を受け、The Ballet of the Nations(1915)という朗読劇において、戦争とそれを支える歪んだ愛国精神に対する批判を展開している。この劇では所謂バレエのダンスが描かれているわけではなく、中世の道徳劇に登場するような道徳的観念や美徳がオーケストラを構成し、ヨーロッパ諸国を連想させる大小さまざまな国々がダンサーとして殺戮と暴力の限りを尽くす様子が描写されている。何故リーはこの作品にバレエというタイトルを付けたのか。当時のイギリスでも大きな話題となったバレエ・リュスがもたらした舞踏芸術の革新の文脈の中に本作品を位置付けつつ読む可能性を探りたい。
4. ニネット・ド・ヴァロワとミスタンゲット ― イェイツとベケットの舞踊観に関する一考察
深谷公宣
サミュエル・ベケットはW・B・イェイツの舞踊劇The King of the Great Clock Tower(1934年初演)について、書簡のなかで批判的な記述を残している。本発表ではこの記述を基点としながら、両者の舞踊観の違いを探るため、イェイツの同舞踊劇に主演したニネット・ド・ヴァロワとベケットが短編小説'A Wet Night'(1934)で引き合いに出す仏キャバレーの女王ミスタンゲットとの比較を試みる。また、両作品にまつわるサロメ像についても考えたい。