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2018年4月

2018年4月17日 (火)

第40回総会・第70回研究発表会

日時 2018年5月12日(土)13:30–17:15
会場 上智大学四谷キャンパス6号館6-203教室、6-204教室
交通 JR中央線、東京メトロ丸ノ内線・南北線 四ツ谷駅下車徒歩5分|地図

プログラム
12:00 役員会(6-203教室) 役員および事務局員はご出席ください(ご欠席の方は、必ず事務局までご連絡ください)。

13:15 受付開始(6-204教室)

13:30 総会(6-204教室)

14:00 研究発表(6-203教室)
14:00–14:40 黒須祐貴(上智大学大学院) 司会:田村真弓(大東文化大学)
『ペリクリーズ』における罪 — ゆるされる罪と罰せられる罪

14:50–15:30 岡田大樹(専修大学) 司会:平塚博子(日本大学)
SanctuaryとSanctuary: The Ogirinal Textにおける登場人物の呼称の問題

15:40–17:15 講演(6-204教室) 講師:畔柳和代(東京医科歯科大学) 司会:飯野友幸(上智大学)
理想の翻訳、現実の翻訳

17:45–19:15 懇親会(13号館303号室) 会費:4,000円 第36回刈田賞および第35回ロゲンドルフ賞の授与を行います。

第70回研究発表会:発表・講演要旨

『ペリクリーズ』における罪 ― ゆるされる罪と罰せられる罪
黒須祐貴
 ウィリアム・シェイクスピア(William Shakespeare, 1564–1616)による『ペリクリーズ』『冬物語』『シンベリン』『テンペスト』は、ロマンス劇と一括りにされながらも、『ペリクリーズ』だけは中世の宗教劇における「罪のゆるし」というテーマを引き継いではいないと考えられてきた。しかしながら、シェイクスピアは、最初のロマンス劇である『ペリクリーズ』においても「罪のゆるし」という伝統のテーマをすでに実質的に扱っていたのではないだろうか。 本発表では、ペリクリーズとマリーナの父娘に焦点を当て、『リア王』における父娘であるリアとコーディリアを比較・対照しつつ、『ペリクリーズ』における罪とそのゆるしの問題を探ってみたい。

SanctuarySanctuary: The Ogirinal Textにおける登場人物の呼称の問題
岡田大樹
 William Faulknerの第六長篇Sanctuary(1936)には二種類のテクストが存在する。1929年に執筆された原稿版と、1930年に大幅な推敲を受けた改稿版である。両者の間の差異は従来もフォークナーの文体の劇的な変化の痕跡として比較研究されてきたが、その検証は主に加筆や削除の分析に限られてきた。本発表ではテクストの順序の入れ替えという特徴的な改稿に注目しながら、二種類のテクストにおけるふたりの登場人物TommyとPopeyeの呼称の変化がもつ意味を検証する。

理想の翻訳、現実の翻訳
畔柳和代
 大学の授業で翻訳について話すときには、訳書が刊行されるまでのプロセスを、訳者の観点から簡単に紹介するようにしています。訳者の仕事は、訳書作りの一部だと考えてのことです。
 翻訳自体に焦点を絞れば、翻訳もいくつかの工程が組み合わさったプロセスだといえるでしょう。ただ、一つの作品を訳すとき、〆切はあっても、マニュアルや工程表はありません。原作の範囲内という条件下とはいえ、訳者は訳し方や取り組み方、工夫の仕方を自由に選ぶことができます。そしてこの自由には当然、失敗をするリスクも伴います。
 今回は、翻訳に取り組むときに理想としていることと、理想とかけ離れた現実と失敗について、いくつかの文芸作品の翻訳から実例を引きながらお話ししたいと思います。

畔柳先生の主な訳業
 キャロル・エムシュウィラー『すべての終わりと始まり』(国書刊行会、2007)
 フィリップ・プティ『マン・オン・ワイヤー』(白揚社、2009)
 マーガレット・アトウッド『オリクスとクレイク』(早川書房、2016)
 フランシス・ホジソン・バーネット『秘密の花園』(新潮文庫、2016)
 その他多数